自己紹介
名前:Ninja
出身高専:釧路高専創造工学科
学科順位:3年次:3位, 4年次1位
受験年:2020
受験大学(受験科目):北海道大学工学部 情報エレクトロニクス学科
併願大学:東京大学工学部, 釧路専攻科
部活や資格:TOEIC 820(R:420, L:400)
なぜ編入をしようと思ったか
私の興味のある研究を行っている研究室があるから.
科目ごとの勉強方法
数学
北大編入試験の数学
北大編入数学は大問4つで構成されており, 近年の傾向としては微分方程式, 線形代数, フーリエ級数, フーリエ変換, ベクトル解析, 複素解析が多く出題される. 私が受験した年度は1問目は平面のベクトルに関する問題,2問目は3×3行列の固有値・固有ベクトルの問題,3問目はフーリエ級数,4問目は3乗根の解に関する複素数の問題であった. 高校数学レベルからきちんと対策をしていれば解ける問題ではあったが,編入対策の数学の参考書のみで勉強した人には出題傾向が異なるため少し厳しかったように思える.
数学の勉強時期
3年次ごろまでは専ら高校数学の勉強をしていた. 授業では微分方程式や偏微分,重積分等の大学初年度程度の数学を学んでいたため編入数学の問題集への移行は比較的スムーズであった. 本格的に編入を意識した勉強を始めたのは高専4年生になってからである. 4年生の3月ごろまでに,編入試験対策の問題集としては定番である編入数学徹底研究や数学/徹底演習,編入数学過去問特訓,ベクトル・行列・行列式徹底演習などの参考書を一通り解いて,その後に北大数学の過去問へ移行した. 過去問を解いてわからないところがあれば参考書で適宜復習をすることで苦手分野を埋めていった.
数学の勉強法
北大の編入数学は基本的な計算問題が多く,定義や定理について問われることは少ない. しかし, 対策をする上では定義や定理の意味をよく理解することが重要である. まれにある応用問題や合否を分けるような問題ではそのような知識が活きてくる. はじめは問題集ばかりに目を向けてしまうが,まずは過去問を眺めてほしい. するとわかるのだが, 問題集などで見かける難しい問題はほとんど出題されず,基礎的な問題ばかりが並ぶので数学は点数の取りどころである. しかし基礎的な問題とは言え出題範囲は微積,偏微分,重積分,ベクトル解析,複素解析と多岐にわたるので,十分な対策が必要である.
物理
北大編入試験の物理
北大編入物理は大問4つで構成されており, 近年の傾向としては力学,電磁気学,熱力学、光学,波動が多く出題される. 私が受験した年度は、大問1の力学はピンでつながった剛体2つの運動,大問2の熱は等温変化,定積変化,定圧変化における熱の収支やエントロピー変化について問う問題,大問3の波動は弦の振動やドップラー効果に関する問題,大問4の電磁気はモーターの原理やビオ・サバールの法則に関する問題であった.
物理の勉強時期
3年ごろまでに物理のエッセンスを一通り終わらせた. そして4年生から本格的に編入対策を始めた. 調べたところ編入物理では演習力学[新訂版]という黄色い本が有効だと見かけたので,大学物理のほとんど知識がない状態で黄色い本に挑んだところ,まったく歯が立たなかった.
そこでマセマシリーズの力学,電磁気, 熱力学から勉強を始めた. マセマシリーズは解説が冗長だともいわれるが,知識がほとんどない状態からでも読み進めることができるので入門としてはおすすめである. ある程度マセマで知識をつけたあとに,演習力学[新訂版]に手を出した.
やはりはじめはほとんどの問題が解けずに解答と格闘していたが3周ほど解いたあとからはスムーズに解けるようになってきた. 結局,演習力学をまともに解けるようになったのは5年の6月あたりとなってしまった… 演習力学だけでは剛体の問題演習量が足りないと思ったので,基礎物理学演習Iという分厚い本で知識を補った.
実際,この時の演習のおかげ(だと思う)で今年の北大物理の大問1を解くことができた. 基礎物理学演習Iは力学,材料力学,流体力学,熱力学など幅広い範囲の問題演習ができるのですべては解かずとも,基礎的な問題の演習には最適な参考書であった.
物理の勉強法
まずは高校物理の参考書からはじめるとよいと思う. 私のお勧めは下記の使用参考書にもあるが, 東進の「橋元の物理をはじめからていねいに」から始めて,河合塾の「物理のエッセンス」や「良問の風」で演習をし,「名問の森」で頭を使う問題の演習をこなすとかなり自信がつく. 名問の森は確かに難しいが,思考力をつけるには,うってつけである. 惜しい点は高校生用テキストなので微積を使わずに書いてある点である. そこで微積を使う物理だけ先に学んでおけば暗記量も減り,効率的にテキストを進められると思う.
一通り高校物理の参考書が終わったら,マセマシリーズや黄色い本と呼ばれる参考書に移行するとよいと思う. はじめは解けない問題ばかりかもしれないが,自分の頭で考えることや先生や友人の力を借りて理解することで少しずつ先に進めるだろう. あきらめずに粘り強く勉強することが大切である.
化学
北大編入試験の化学
北大の化学は大問6つで構成されており, 近年の傾向としては有機化学の割合が多く,次いで無機化学や理論化学の分野が出題される. 範囲はほとんどが高校レベルなので大学受験用の参考書で十分カバー可能である. 配点は50点と他の数学,物理,英語に比べて小さいため試験対策はおろそかになりがちだが,数学や物理のちょっとしたミス程度であればカバーできるのでノー勉は避けたい. 化学系の学科であれば化学の配点は大きいのでしっかりと対策する必要がある.
化学の勉強時期
3年生までに高校生用教材のセミナー化学・化学基礎という参考書で基礎を固めたのだが、始めるのが早すぎて受験するころにはその知識があまり残っていなかった…
改めて化学の勉強は4年生の3月ごろからぼちぼちはじめたが,化学の配点が低かったため化学にはあまり身は入らなかった. 過去問を解き始めたのは5年生の7月ごろから(遅い). どの年度も半分程度しか解けなかったが,数学や物理に比べれば配点も低いため焦ってはいなかった. 着実にできることだけ固めていった.
化学の勉強法
化学は暗記量が数学や物理に比べて多いため時間がかかる科目である. また,範囲も広いため一朝一夕の勉強ではなかなか身につかない. 手っ取り早く点数を稼ぐには基礎的な項目や比較的出題割合の多い有機化学を重点的に勉強するとよいだろう. 下記に挙げるような大学受験用の化学の参考書が役に立ったのでおすすめである.
英語
北大編入試験の英語
北大のTOEICのスコアが英語の点数に換算される. スコアの600点が英語の試験の80点(100点満点)に換算されると公表されているので600点が一つの指標となる. 北大ではIPテスト, 公開テストのどちらも受け付けてくれるので私はIPテストの結果を提出した.
提出したスコア
提出したスコアは4年の6月に取得した820点(R: 420, L:400)である.
スコアの取得時期
TOEICの勉強を始めたのは3年生の3月からである. 4年生の4月に初めてのTOEICを受験して結果は690点だった. そして2度目のTOEICを同年6月に受験して820点を取得し, このスコアを北大に提出することにした.
TOEICの勉強法
編入試験におけるTOEICの勉強法には主に2つの方法があると思う. それはTOEICのためだけの勉強とTOEICのためだけではない勉強である. TOEICのためだけの勉強であれば特化した参考書はいくつもあるのでひたすらTOEIC力を上げることで比較的短期で600点程度まで上げることが可能だと思う. 800点や900点などの高得点を望むにはTOEICの参考書だけでは足りないかもしれない. TOEICのためだけでない勉強はTOEIC以外の英語の参考書を使用して英語力を鍛えることだ. 英文構造の根本的な理解や英語を体系的に学習するための本などで一度学んでおくとTOEICの学習効率も上がり, 高得点を望める.
しかしこの方法は短期の学習には向かず,半年から1年以上かけて勉強する場合に有効だ. 私は後者の勉強法だった. 3年生までは大学受験用の参考書で英語の勉強をし, 基礎的な事項は学習した状態でTOEICの勉強を始めたので比較的短期で受験に十分なスコアを取得できた. リーディング対策としては下記の使用参考書で十分対策できると思う. 私はリスニング対策として毎日PodcastでVOA(Voice of America)を聞いていた. TOEIC対策として効果があったかは不明だが, 普段から英語を触れる環境づくりとしては効果的だったと思う.
試験当日
試験内容
数学
出来は9~10割
1問目は平面のベクトルに関する問題
2問目は3×3行列の固有値・固有ベクトルの問題
3問目はフーリエ級数と極限計算
4問目は3乗根の解に関する複素数の問題
傾向は例年と変わり、高校数学のような問題が増えた. 難易度は易化したと思う. しっかりと見直したのですべて解けているはず…
物理
出来は9~10割
大問1は力学. はじめ円板と棒がピンで止まっており、その後の運動を問う問題.
大問2は熱力学. 標準的でした. 等温変化,定積変化,定圧変化における熱の収支やエントロピー変化について問う問題.
大問3は波動の問題. 弦の振動やドップラー効果、うなりなどに関する基礎的な問題.
大問4は電磁気学. モーターのトルクや正方形コイルについてビオ・サバールの法則を用いて中心の磁場を求める問題について.
大問1は全くの初見だったため一度飛ばして他の問題を解いた後に余った時間で解いた. かなり不安が残る解答だったが後に幣高専の物理教員と答え合わせをしたところ答えが一致したので合っていたらしい…
大問2~大問3は物理のエッセンスや基礎物理学演習Iにも載っているような基本的な問題であった. ひねった問題ではなかったものの、範囲が広いため対策は十分しておく必要がある.
化学
出来は3~5割
大問1は電気分解
大問2はルシャトリエの原理など
大問3~大問5は有機化学分野
大問6は有機化学らしい...(化学系学科向け?)
取りどころは大問3~大問5です. おそらくそのあたりで点数を稼げたと思います. 大問6は化学系学科向けの問題だと思います(問題の意味が理解できなかった…)
大問6以外はとりあえずすべて埋めたのでよくて5割程度だと思います.
英語
10割?
英語はTOEICのスコアのみです. 私はTOEIC IP の820点(R: 420, L:400)で提出しました. 北大では600点が80点換算(100点)になるので、820点なら満点換算になると勝手に思っています(笑). おそらく700点程度あれば強力な武器になると思います.
面接
- 志望動機
- 釧路高専の創造工学科では何を学んだのか
- 試験の出来について
- TOEICの勉強法
- 大学に入ってからやりたいこと
- 高専で頑張ったこと
- 将来のビジョン
- 卒業研究について
- なぜ北大なのか
後輩に伝えたいこと
編入仲間をつくろう!
編入に関する情報は、通常の大学入試に比べて情報が少ないので勉強法については不安になる. そこで一緒に編入試験を受ける友人(ライバルであり仲間)をつくることで、勉強面・精神的面の両面において助け合うことができる. そのメリットは
- 自分のモチベーションを維持できる
- わからない問題について議論しあうことができる
- 編入生にしかわからない悩みを相談できる
などなど他にもたくさんあると思う.
しかし、こわいのは友人や教員に頼りすぎて、自分の頭で考えなくなることだ. 結局、編入試験を受けるのは自分なのだから、自分一人で考えられる力を普段から養っておかなければならない. そこには留意してほしい.
オススメの参考書
数学
- 編入数学徹底研究
- 編入数学過去問特訓
- 編入の線形代数徹底研究
- 編入の微分積分徹底研究
- 大学編入のための数学問題集
- マセマ 複素関数
物理
- 橋元の物理をはじめからていねいにシリーズ
- 力学 電磁気 熱・電磁気・原子
- 物理のエッセンス 力学・波動
- 物理のエッセンス 熱・電磁気・原子
- 良問の風 物理
- 名問の森 力学・波動
- 名問の森 熱・電磁気・原子
- 新・物理入門
- ビジュアルアプローチ 力学
- 演習力学 [新訂版]
- 電磁気学演習[新訂版]
- 基礎物理学演習I
- 物理学 小出昭一郎
- マセマシリーズ
- 力学
- 電磁気学
- 熱力学
- 新装版 電気磁気学 その物理像と詳論
化学
- セミナー化学・化学基礎
- 東京書籍 化学
- 鎌田の有機化学の講義
- 鎌田の理論化学の講義
- 福田の無機化学の講義
英語
英文法書
- 総合英語Evergreen
- 基本からわかるリーディング教本
英文読解
- ポレポレ英文読解プロセス50
- 基礎英文問題精講
TOEIC対策
- TOEIC L&Rテスト文法問題でる1000問TEX加藤
- 公式TOEIC Listening&Reading 問題集1-5
- TOEICテスト新形式精選模試リーディング2
- TOEICテスト新形式精選模試リスニング2
- TOEIC L&Rテスト究極のゼミPart7
単語帳
- 金のフレーズ
- 金のセンテンス