編入体験談

2025年:東京科学大学 物質理工学院 材料系

自己紹介

名前:テルル
出身高専:一関高専 化学・バイオ系
学科順位:1年次 2位 2年次 1位 3年次 7位 4年次 15位くらい
受験年:2024
受験大学(受験科目):東京科学大学 物質理工学院 材料系 受験科目:数学、物理、化学、英語、面接
併願大学:東京農工大学、一関高専専攻科
部活や資格:陸上部、学生会
TwitterID:ssk_yt_study

なぜ編入をしようと思ったか

もともと研究者になりたくて、ドクター取るのが必要だと思って、大学編入しようと思いました。

学年ごとの勉強内容

1~3年

1,2年の時は就職希望でした。なので、課題をちゃんと出してテストで良い成績を取ることだけを考えて学校生活を送ってた感じです。2年生ではそれに加えて資格厨になって6,7単位分くらいの資格を取ってました。あとは、部活の陸上に勤しんでましたね。 

3年生になってからは、2年生でクラス順位1位を取った後、テスト勉強をそこまでして頑張る理由が自分の中に見つからず(なんとなくこんなものかと思ってしまった)、だんだん学校の勉強以外のことに勤しむようになりました。友達に習ってWeb制作したりpythonでコード書いたりして、だんだん情報系寄りの事をするようになりました。また、同学年の情報系のめちゃくちゃ頭いい奴とそのつながりで仲良くなって、学校の勉強であまり深堀しない初等力学や電磁気、熱力学の自主ゼミの団体を立ち上げて、輪講形式でゼミを開催していました。

学生会で会計局長(一関高専には「会計」という珍しいブラックな部署が学生会に存在します)もしたので、一年中ExcelとTeamsに張り付いて授業中も作業していました。

自己紹介でお察しの通り、成績は悪くなりました。まあこのあたりからテストに一夜漬けで挑むようになったので当たり前ですね。でも、1,2年生の時と比べると勉強に対してのモチベーションや興味のある学習範囲の理解度は高かったです。

これから編入を目指す皆さんに注意しますが、成績が良くて損することはないです。なぜなら、編入において「推薦」という選択肢が使えることはもちろん、学内の様々なところで自らの成績というものはついて回るからです(編入しようとする方は大体真面目なので分かってると思いますが)。

もし打ち込みたいことがあっても、成績だけは良いままを維持することに注力すべきだと思います。

4年前期

4年生では、学生会副会長を務めたのでますます忙しくなって、勉強は全然手につかず、課題もしょっちゅう期限超過していたと思います。とにかく業務量が尋常じゃなかったので、11月くらいまでは学生会の仕事をずっとしてました。そのため、テスト順位も結構下がりました。

4年後期

高専祭が終わって学生会から解放されたので、11月からTOEICの勉強を本格的に始めました。以前からTOEICは何回か受けていて、だいたい600点前後あたりでした。編入の勉強を始めるのがだいぶ遅い自覚があったので、3か月間でTOEICはとりあえず終わらせようと決めて1月末の試験を目指して勉強していました。結果は720点だったので、まあまあ及第点かなと思って、TOEIC勉強は一旦打ち切りました。

余談ですが冬休み前に、5年生の先輩方が編入説明会を開催してくださり、それに参加したところ東京工業大学に進学する先輩が同じ化学系でいらっしゃったので、僕でもいけるかもと思ったのが東工大編入を意識し始めたきっかけです。あと説明会の後、先輩に編入先を相談しに行ったら、とりあえず東工大目指しておいたら?との回答を頂いたので、ここで本格的に東工大を目指すようになりました。

スタディプラスもここら辺で始めたのですが、ある時ふとタイムラインを見ると、「一緒に東工大の過去問解く人いませんか?」という投稿があったため、速攻返信してdiscordのグループに入れてもらいました。その後は、この時に集まった3人で毎週過去問を1,2年分解き、曜日と時刻を決めてボイチャで過去問の解答を共有していました。今思えば、この時に一緒に過去問を解く人を見つけられていなかったら、割と詰んでいたと思います(マジで二人ともありがとう。感謝してもしきれない。)

話は戻って2月になって本格的に編入勉強をするぞーっと意気込んではいたのですが、何からやればいいか分からず、問題集からではなく、とりあえず過去問を解いていました笑。理由は簡単、編入仲間の他の二人が既に過去問を数年分解いていており、僕も混ざらなければと必死だったからです笑。案の定、8割分からなかったので、先輩からもらった過去問の解答を度々見ながらやってました笑。

しかし今なら、案外良い選択をしたと思っています。なぜなら、過去問を解くのが一番記憶に残りますし(個人の意見ですが)、問題の傾向を把握できるからです。

これから編入勉強するみなさんに注意していただきたいことですが、最初に問題集をやみくもにやるのはお勧めできません。なぜなら、問題集の範囲全体が試験に出るかというと、必ずしもそうではないからです。そのため、問題集に入る前に、もしくは問題集をやりながら過去問をコツコツとやって、どの範囲が出やすいか、どのくらいの難度で出題されるのかを正確に把握する必要があります。

そのため、まず何からしたら良いか分からないという人は、その進学先の先輩やSNSでつながった人に過去問の解答をもらい、さっさと過去問をやりましょう。はじめはマジで何も分からないので精神的にきついのですが、ぐっとこらえて過去問を優先的に終わらせることをお勧めします。この時、分からなくても良いというのがポイントです。もらった解答を堂々と見て、理解しながら解きましょう。僕個人の意見ですが、この方法が一番手っ取り早いです。

春休み期間は、過去問と並行して英語と力学の勉強をしていました。英単語がまず分からなかったので、システム英単語帳を範囲を決めて回していました(1時間くらい毎日費やしてました)。また、英文を読むスピードが激遅だったので、速読英単語を買って、繰り返し読んでました。とにかく英語に慣れたかったので、移動時間や家事している時間はずっとこれを聞きながらシャドウイングしてました(そのおかげで電車のアナウンス聞くだけでも口ずさむようになってしまいました)。

力学は、「大学生のための初等力学」を2月から春休みの終わりまでやってました。僕は化学系のため、授業で大学物理はほとんどやらないので、物理の考え方を身に着けるのにすごく苦労しましたが、一旦分かってしまうと、それが至極当たり前なことに感じてきて、後の電磁気学や熱力学の勉強も楽になったと思います。

5年前期

当初から化学は春休みが終わってから手を付けようと思っていたので(化学は好きだし得意だったのであまり心配していませんでした)、5年生の始めから有機化学を勉強しました。有機化学は、「マクマリー有機化学概説」で勉強しました。授業では「工学のための有機化学」という本を使っていたのですが、「マクマリー有機化学概説」の方が読みやすかったので、一通りノートにまとめたり章末問題を解いたりして終わらせました。そのあと、上記2つの参考書に書いてあるすべての反応を、反応機構付きでまとめるという暴挙に出ました。色々サイトを読み漁ったりしながらコツコツとまとめ、合計120個ぐらいの反応とその反応機構をまとめた暗記ノートがGWあたりに完成しました。その後、反応名と最初の化合物だけを書いた演習用のノートを作り、すべての反応機構を覚えようと、毎日範囲を決めて反応機構を書いて覚えるのを繰り返していました(全部通してやると6時間くらいかかる)。そのおかげで、問題集はほとんどやっていないのですが、過去問で分からないところはほとんどなくなりました。やはり基礎固めが大事です。また、時間をかけて反応機構を調べたことも有機化学の理解につながりました。

また、毎週英語の先生に英語の過去問を添削してもらっていました(英訳・並べ替え・英作文など)。これはみんなやった方が良いです。編入試験の英語の長文も、内容把握しやすい問題の読み方や点数をつけやすい答え方のコツがあります。また、英作文は添削してもらった事が一番頭に残ります。ですので、早めに英語の先生にアポを取って英語の添削をしてもらいましょう。

その後5月末まで物理化学と無機化学を勉強しました。物理化学は「化学熱力学中心の基礎物理化学」という本を1周しました。受験後半では、様々な式の導出過程を毎日書いて覚えてました。この本の章末問題は解答に過程が記載されてないため、章末以外の問題をやっていました。無機化学はもともと得意だったし、授業のスライドがメチャクチャ分かりやすかったので、それだけで勉強しました。無機化学の参考書は内容が難しそうで本当にやる気が起きず、問題集も最後まで開くことはありませんでした。それでも東工大と農工大の無機化学の範囲はほとんどカバーできたので、そのスライドに感謝です。また、過去問で周期表の穴埋めがあったので、第7周期のRaまで(ランタノイド、アクチノイドを除く)毎日書いて覚えてました。何も考えずに出来たので、勉強の合間とか最初とかによくやってました。

あと、この頃から東工大英語の赤本「東工大の英語20カ年」もやり始めました。マジで読めなくてきつかったですが、コツコツやってました。夜やると本当に頭が働かないので、朝早く起きて学校の1限が始まる前に終わらせてました。また、「システム英単語」と「速読英単語 必修編」をこの頃はだいたい覚えてしまったので、「速読英単語 上級編」に入りました。

6月が近づき、農工大の編入まであと1ヶ月と迫ったころで、電磁気学と数学の勉強に入りました(遅すぎ)。それでも毎週過去問を解いていたので、どちらも基礎的な問題は理解していました。電磁気学は「大学生のための電磁気学」、数学は「編入数学徹底研究」を使って勉強しました。事前に農工大の過去問もやっていたため、出題範囲を絞ることが出来、どちらも2週間くらいかけてがーっと一気に詰め込むことが出来ました。

農工大の試験(6/26)が終わってからは、試験の手ごたえが良くなくて、もともと病んでたのに、更に病み始めたので、どんな勉強をしていたのかあまり覚えてません。「大学生の初等力学」と「大学生の電磁気学」を周回して問題を完璧にしていたと思います。

その後、7月に入ってから高校波動と量子力学を勉強しました。波動は授業で使ってた「リードα物理」の問題集を何問かといて、量子力学は「理工系学生のための基礎化学 量子化学編」をやりました。これは東工大で使われている教科書だそうなのですが、この教科書から量子力学範囲の問題が頻出しているため、これだけやっておけば大丈夫だと思います。その後、今までの問題集を復習しながら、「編入数学過去問特訓」「有機化学演習」「演習力学」「電磁気学演習」を1周しました。

英語は、「実践模試演習 東京工業大学への英語」をこの頃1周しました。あと、英作文の勉強も少しだけしました。

直前期の7月後半~試験前までは、ひたすら全科目ひたすら過去問を周回していました。試験1週間前までに9年分の範囲を2週目解き終わって、その範囲をひたすら復習してました。

試験当日

試験内容

試験の内容については、あまり書きません。

試験一日目

試験開始の40分前ぐらいに会場につくと、ほとんどの受験者が揃ってました。あまり留学生はいなかったイメージです。

数学

去年だけ傾向が変わったのかなと思っていたのですが、問題の作成者が変わったのか、去年と同様、例年よりかなり範囲が変わって問題も難しくなっていました。東工大数学は簡単といわれていますが、東工大編入の数学はもはや簡単ではないので、来年以降の受験者は注意してください。

多分最後まで書いた(解けたとは言ってない)のは最初の大問だけで、それ以降はほとんど全部撃沈でした。

お昼に食堂で編入仲間とご飯を食べた時に、みんなあれは点数低いと思うと、仲間が言っていたので、少しだけ安心しました。

物理

力学

ばねの問題で解き方を度忘れして運動方程式しかかけず、そこからその方程式を解くことが出来ませんでした。この大問はほとんど落としたと思います。

電磁気学

磁場と電場の問題でした。磁場の問題は電流がながれるわけではなく、電荷をもった導体が回転する時に発生する磁場という問題だったので、線電荷密度や角速度を用いて、電流の次元に合わせるところに計算過程で少し躓きました。最後は答えがあってそうだったので、ここはほとんどあっていたと思います。

熱力学

今年は波動ではなく、熱力学でカルノーサイクルと冷凍機が出ました。波動は、本当に苦手だったので、内心助かった~と安堵してました。内容自体は簡単でしたが、冷凍機の問題に差し掛かるところでタイムアップでした。

化学

結構難しかったです。大問5で化合物Aがどうしてもわからず、雪崩式でその大問のほとんどの問題を落としました。また、pHを求めるという基礎問題も解き方を度忘れして、途中計算までしか書けませんでした。有機化学は結構自身があったため、あまり力を出せず結構悔しかったです。

試験の出来がひどくて、試験後は結構メンタルに来ていました。明日の面接場所を確認し、ホテルに戻りました。夜は英語長文を少し読んで、面接練習を2時間くらいして寝ました。

~試験2日目~

英語

英語は、例年に比べて簡単だったと思います。並べ替えや和訳では多分致命的なミスはしていないと思います。また、選択肢問題も結構自信をもって回答できました。英作文もつたない文章ですが、なんとか埋めて見直しの時間も取ることが出来ました。全て英文を読めたとは言えませんが、普段と比べると手ごたえは十分にあったと思います。

面接

材料系は志望者が2人だけで、待機中はずっと雑談してました。お互いに名前は知らなかったですが、色々語ることが出来て楽しい時間でした笑。なんとなく待機所に来た試験官の雰囲気が良かったので、二人でこれは和やかな面接だと確信してました。実際面接は、堅苦しいものではなく、リラックスした雰囲気で進行しました。

質問

  • 本校を志望した理由は?
  • 入学したら何を勉強したい?
  • どこの研究室に興味がある?
  • その研究室に入ってからはどのような勉強を頑張りたい?
  • 試験の出来はどうだった?
  • 自分の得意科目を教えて
  • 一関高専のカリキュラムについての質問(多分きちんと授業内容を説明できるかの確認だった)
  • 台風大丈夫だった?
  • 最後に質問はある?

卒業研究の事を聞かれなくてびっくりしました。面接は15分くらいで終わったと思います。志望理由をド緊張しながら言ったら、笑いながらリラックスしてと言われました笑。

その後たまたまさっきの材料系のもう一人の受験者にあって、あの面接は点数付かないなと二人で話してました。試験官があまりメモを取っていなかったからです笑。

後輩に伝えたいこと

推薦ができるだけの成績を維持しましょう。学力試験は自分の実力を試せる反面、あくまで試験なので、自分の興味外の事も徹底的にやらなければいけません。であれば、さっさと推薦で合格貰って好きな勉強や研究に学生の時間を費やした方が良いです。僕自身、後悔しているわけでは決してありませんが、「推薦」という選択肢を使えた方が強いです。

オススメの参考書

  • 編入数学徹底研究
  • 大学生の初等力学
  • 大学生の電磁気学
  • 電磁気学演習
  • 化学熱力学中心の物理化学
  • マクマリー有機化学概説
  • 工学のための有機化学
  • 化学の重要問題集
  • システム英単語
  • 実践模試演習 東京工業大学への英語

あと過去問がなんやかんや一番