はじめに
一般の試験と大きく異なり、情報が少ない編入試験にはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか?
この記事では、東京大学編入試験の基本情報および傾向・対策やおすすめの併願大学など、合格に近づくための情報をまとめています。この記事を参考にすれば、充実した受験ライフを送れること間違いなしです。
※この記事は、「高専テクノゼミ」の提供でお送りします!
基本情報
キャンパス
国内に複数のキャンパスを有しています。
都内には、主に駒場キャンパス、本郷キャンパス、柏キャンパスがあります。編入生は前期の半年間を駒場キャンパスで過ごし、幅広い分野から教養科目を学びます。後期から専門課程が始まると本郷キャンパスに移ります。大学院に進むと、研究室によっては柏キャンパスに行くこともあります。
学科
社会基盤学科、建築学科、都市工学科、機械工学科、機会情報工学科、航空宇宙工学科、精密工学科、電子情報工学科、電気電子工学科、物理工学科、計数工学科、マテリアル工学科、応用化学科、化学システム工学科、化学生命工学科、システム創成学科
の16の学科があります。編入試験受験生は、希望学科を第2志望まで提出して受験します。
出題科目
数学、英語、物理(志望学科によっては無し)
入試時期
6月末から7月はじめ(2024年度は2023年7月2日でした)
試験の傾向と対策
2019年から、大問が5つから4つに変更しました。一方で大問ごとの計算量は増加傾向です。かなり数学が出来る方以外は、解ける問題を確実に解くスキルと、難しい問題で部分点を取りに行く粘り強さが両方求められます。
問題の傾向も変わりつつあり、編入試験によく出るような使い回された問題は出なくなっています。物理が必要科目になる方は特に、編入試験の典型的な問題集だけでなく、様々な参考書で勉強する必要があります。
詳細範囲
過去5年分の問題(概要)と、過去問研究・過去問特訓の対応範囲です。
年度 | 大問 | 概要 | 徹底研究 | 過去問特訓 |
2022年 | 大問1 | ベルヌーイ(変数の条件)、連立(リッカチ、図示有り) | 8章 | 3章 |
大問2 | ランダムウォーク【難】 | 14章 | 7章 | |
大問3 | 数列(図示あり),留数定理(場合分け),写像 | 15章 | 8章 | |
大問4 | 回転行列(図示あり) | 11章 | 5章 | |
2021年 | 大問1 | 一階微分方程式(変数係数,置換誘導),二階微分方程式,極限 | 8章 | 3章 |
大問2 | ベイズ,二項分布 | 14章 | 7章 | |
大問3 | 程式(図示あり),留数定理(変化球,場合分け),写像 | 15章 | 5章、8章 | |
大問4 | 列式,固有値,逆行列【難】 | 11章 | 4章、5章 | |
2020年 | 大問1 | 2 階微分方程式,同次形,連立微分方程式(図示あり) | 8章 | 3章 |
大問2 | 二項分布 | 14章 | 7章 | |
大問3 | 図示,CR 関係式,留数定理(実数,誘導付き) | 15章 | 8章 | |
大問4 | ケーリー・ハミルトン,漸化式,一次変換 | 9章、12章 | 6章 | |
2019年 | 大問1 | 1 階微分方程式(図示あり),オイラー,連立微分方程式 | 8章 | 3章 |
大問2 | 期待値の漸化式 | 14章 | 7章 | |
大問3 | 複素数の変形,微分,留数定理(複素),留数定理(実数,誘導付き) | 15章 | 8章 | |
大問4 | 固有値,A^n | 12章 | 6章 | |
2018年 | 大問1 | 一般的な2 階微分方程式,連立,オイラー | 8章 | 3章 |
大問2 | 幾何との複合 【難】 | 14章 | 7章 | |
大問3 | 領域の体積(ベクトル解析) | 7章、11章 | 2章、5章 | |
大問4 | 方程式の図示,写像、留数定理(実数) | 15章 | 8章 | |
大問5 | 固有値,軌跡の図示(誘導付き特異値分解) | 9章、12章、 13章 | 6章 |
東京大学の対策では、徹底研究のレベルは完全にマスターしましょう。過去問特訓に関しては、応用数学を含めてC問題まで解ける状態を目指しましょう。複素関数に関しては、徹底研究・過去問特訓では適切な難易度の問題が不足しがちです。余裕があれば他の問題集の利用も視野に入れましょう。
おすすめ参考書
前節で紹介した徹底研究、過去問特訓以外の参考書を紹介します。
『細野真宏の確率が本当によくわかる本』
離散確率についてはこの本一冊でおおよそ対策できます。問題数が多く様々なパターンが載っているため、完璧になるまで解きましょう。
『ハッと目覚める確率』
上の確立の本が苦手な方には、こちらの本を使うという選択肢もあります。高校範囲の離散確立は、確率密度関数を扱う大学範囲の確率論のような微分積分ベースで考えるものとは考え方が異なるので、苦手な高専生が多い印象です。自分にあった本を使って勉強を進めましょう。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4887420447/
『工学系学生のための複素関数攻略への一本道』
複素解析で様々な問題を毎年出している東京大学にはもってこいの一冊です。この本も多くの問題を掲載しているため、問題に慣れることができます。
『マセマ』シリーズ
細かいところまで理解できる参考書となっており人気のシリーズです。一度教科書などで一通り勉強した後に使うことで効果が増大します。「演習」版の方は特に人気です。
『ベクトル・行列・行列式 徹底演習』
線形代数の発展的な内容を含んだ演習書です。高専で扱う一般的な教科書・問題集よりも一歩立ち返って深い内容まで扱ったものですので、高レベルの大学を目指す方にはおすすめの一冊です。
『詳解 大学院への数学』
更に発展的な問題で演習をしたい方におすすめの問題集です。特に微分方程式に関しては効率的な解法が解説されており、計算力を上げたい方には参考になります。また、複素関数の演習問題としてオーソドックスな良問が多いため、東大レベルの応用数学の演習にはおすすめです。
『U Toyo TV(休憩用)』
オンデマンドで東大の講義が閲覧できるサイトです。高専から編入できる大学の中で東大が異質なのは、編入生に対して駒場での教養課程が準備されている事です。高専では学ぶことが出来ないリベラルアーツの世界を覗いてみましょう。
おすすめの併願大学
大阪大学
工学部、基礎工学部ともに東京大学の併願大学として人気があります。特に基礎工学部は人気があり、研究の評判が高いようです。どちらの学部も東京大学と同じ試験科目の学科があることが人気の秘訣です。
筑波大学
東京大学の併願大学として昔から人気があります。特に人気があるのは情報科学類と社会工学類となっています。関東に住みたい人におすすめです。
電気通信大学
東京大学と同じ試験科目であり、6月に試験が行われるため受験の練習として人気があります。
さいごに
本記事では、東京大学の傾向と対策についてご紹介しました。
目指す人が多く、全国の様々な高専生が受験します。最近は問題傾向が変わりつつあり、問題量も増えてきていますが、そういったときこそしっかり対策をすれば合格の可能性が高まります。
傾向・対策や参考書など、本記事で記載した内容を参考にしていただけたらと思います。
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