編入体験談

2025年:神戸大学 工学部 電気電子工学科

自己紹介

名前:ひとみんみんぜみ
出身高専:仙台高専 情報システムコース
学科順位:3年次:5位 4年次:6位
受験年:2024年
受験大学(受験科目):神戸大学工学部 電気電子工学科
併願大学:仙台高専 専攻科
部活や資格:TOEIC 775点
Instagram:ngng__zzz

学年ごとの勉強内容

1~3年

負けず嫌いなので結構学校のテストは頑張った気がします。ただ、自分の所属していたクラスのレベルが高く、自己平均点を94点あたりまで伸ばしてもクラス順位が5位以内に入らなかったので早々に推薦での大学編入は諦めました。
入りたい企業が高専から新卒を採用していなかったので、大学院への進学を考えていましたが、院へ進学するのなら大学の雰囲気も味わいたかったので編入も視野にいれ始めました。幸いにも周りの友人たちが進学志望だったのでモチベーションアップにつながりました。

高専にはマルウェア等の情報セキュリティに興味があったので進学しました。仙台高専は3年後期から研究室配属があったので情報セキュリティに力を入れている研究室に志望し、無事配属されたのでちまちまランサムウェアについて勉強と研究を進めることができました。

4年前期

3年の終わりあたりからTOEICに力を入れ始めました。この時点では600点に届くか届かないかあたりをキープしていたので、公式問題集と文法問題でる1000問を用いて勉強を始めました。編入をするに当たってTOEICは750点をゴールとして設定しました。この程度の点数をゴールとするのなら参考書は先述した2冊で十分だと思います。TOEICについてはネットに攻略法がゴロゴロ転がっているので、自分に合っている方法で勉強するのが近道だと思います。本記事では深掘りはしません。

4年の段階でかなり進学の意思は固まっていましたが、夏休みにインターンに参加しました。5日間の短い期間でしたが、どのような企業に就職したいか、そのためにはどのようなスキル(学歴含め)が必要かを真剣に考える貴重な機会となりました。企業の方と面接する機会があり、”このような業界で働きたくて、このような分野を勉強していて、足りないから進学も考えている”といった趣旨のことを伝えたときに応援してもらえてとてもうれしかったです。進学するにしてもそののちに企業に就職すると思うので、インターンは行ったほうがいいと思います。

また同時期に、研究を進めるに当たって読んだ神戸大学の教授の論文が面白かったので研究室に見学にいきました。研究室のHPに載っているメールアドレスから教授にアポをとり、どのような研究ができるのか、研究室はどんな雰囲気なのか聞くことができました。実際にそちらで研究している学生の方と話すいい機会でもあったので、インターンと同様これも行っておいたほうがいいと思います。自分でアポを取って単独で大学に足を運ぶのはかなりハードルが高いと思いますが、これはのちのち受験の時にアドバンテージになります。

夏休み中に先述したインターン、研究室見学を終え、受験に頭をスイッチすることができました。夏休み中は編入数学徹底研究、TOEICへの勉強を進めていました。

この頃からZENPENでの記事を読みあさり、参考書をそろえたりstudyplusで勉強時間を記録し始めました。どこかの記事で、編入試験に合格するラインとして大体1500-2000時間の勉強量が必要と目にしたので、とりあえず1700時間をゴールとして設定しました。

ただ、もちろん勉強は時間が全てではないと思います。当たり前ではありますが、参考書で目にしている問題は本番で出てもおかしくないものです。時間にとらわれず、一題ずつ真剣に取り組むことが大事だと思います。

4年後期

仙台高専は4年から授業は全て自分で選択できるシステムだったので、4年の内に単位はできる限りとっておきました。後期は授業と同時並行で受験勉強に励みました。夏休みが終わった段階で力学と電磁気学に取り組み始めました。電磁気学にはかなり苦手意識があったので、この頃から少し多めに勉強時間を割きました。

4年の冬休み前までは物理のエッセンス(赤・青)と徹底研究、また徹底研究を進める段階で躓いた部分を微積徹底研究と線形代数徹底研究でカバーする形で勉強を進めました。徹底研究の章末問題は結構難しいので、正直後に回しても全然問題ないと思います。

11月に研究室の先生から隣県の学会発表に神戸大学の准教授が来ていると教えてもらったので、研究室の先生に同行し発表を聴講しました。現在進めている卒研の相談に乗っていただいたり、再び研究室のことを聞いたりして、モチベーションを上げる機会をいただきました。より一層神戸大学で研究を進めたいという意思が強まり、勉強に励むことができました。

冬休みが明け、本格的に受験勉強に本腰を入れて取り組みました。この時点でTOEICが720点程度だったのでそろそろ終わりにしようかと考え、ダメ押しで2月に受験したところ775点をたたき出し満足して終わることができました。個人的な見解にはなりますが、受験等の一発での勝負に苦手意識があるのならTOEICは必ず満点近い点数を保持しておくのがいいとベストだと思います。個人的には4年の冬までにとっておかないと後が厳しいと思います。

春休みの段階で大学生の初頭力学、大学生の電磁気学、過去問徹底研究(A,B問題)に手をつけ始めました。一週目はかなり時間がかかりますが、何回も繰り返し繰り返し解くことで自分の力になります。参考書は極力数を増やさず取り組むのが理解への近道だと思います。

3月には大体210時間勉強することができました。受験期で一番勉強時間を確保できたのはこの3月でしたが、やはり苦しかったです。間違えた時は解法を見て納得できるのに、再び同じ問題で間違えることの繰り返しで泣きながら勉強していました。特に長期休みとなると友達も近くにおらず、自分にとっての誘惑がたくさんあってつらいことの連続です。自分で適切な目標を立てて、それを達成したときは息抜きがてら遊ぶ、というパターンを確立して頑張りました。
(実際の目標例:午前に力学と電磁気学を2時間ずつ勉強し、数学の過去問特訓で前回間違えたところを全てもう一度解く等)

5年前期

5年生の段階ですでに必修科目のみで卒業できる状態だったので、空いた時間を全て受験勉強に費やしました。春休みが終わったタイミングで電気回路を勉強し始めました。電気回路は一番勉強法を確率するのが難しかったですが、自分は過去の授業でだされたレポート課題を中心に勉強しました。回路の方程式を立てるのが苦手だったので、その部分だけは専攻科の過去問から類題を集めたくさん解きました。

数学は過去問研究(A,B問題)と徹底研究の苦手分野をひたすら繰り返し、力学と電磁気学は大学生の力学、大学生の電磁気学を繰り返し解きました。このあたりで物理の参考書は大体解けるようになりましたが、再び頭から解くと解けなくなっている箇所が散見されたので、
①頭から全部解く→②間違えたところを再び全て解く(②の繰り返し)を1セットとし、このセットを一週間に一回こなすことを目標として設定しました。

GWの週で過去問に手をつけ始めました。初回の手応えとしてどの教科も半分程度だったので、後は発展系の参考書と過去問で解ける問題を増やそうと考えました。
数学は過去問研究のB,C問題を中心にといてみたり、編入のための数学問題集をがっつり取り組んだり、とにかく手を広げました。
電磁気学は難易度が大学生の電磁気学の通りだったので、参考書を増やさず過去問と大学生の電磁気学のみで勝負しようと考えました。
力学については、初めは黄色の力学演習をやろうと考えていたのですが、過去問の難易度との乖離を感じたので名門の森を仕上げることを決めました。要は高校力学に振り切れようと考えたので、自分としてはかなり英断でしたが結果としてとてもいい判断だったと思います。

6月に唯一滑り止めとして受験した出身校の専攻科の試験がありました。直前一週間は専攻科の勉強のみ取り組みました。電気回路が受験科目として取りこまれてたので、結果的に電気回路の知識がかなりついたと思います。無事滑り止めにも合格でき、安心したところで少し気持ちがたるんでしまい、結構勉強がおろそかになりました。風邪も引いたりしたので、このままじゃ落ちると感じ気力を振り絞ってラストスパートに励みました。

ラストスパートとしては、
・力学 大学生の初等力学、名門の森
・電磁気学 大学生の電磁気学、神戸大過去問、豊橋技科大過去問
・数学 大学編入のための数学問題集、電通大過去問、神戸大過去問
・電気回路 豊橋技科大過去問、神戸大過去問
これらを中心に勉強し、あとは他の参考書の解けなかった部分をひたすら繰り返し解きました。受験1ヶ月前からは自分の体調管理を一番とし、1日7時間勉強し1日8時間以上を睡眠時間に充てました。この時点で総合計勉強時間は1500時間程度で、いい感じに仕上げられたかなと感じました。家族の支えもあって最後は万全の体調で受験に挑むことができました。

試験当日

試験内容

数学

  • 大問1:簡単な行列の基本問題
  • 大問2:ベクトルの一次独立性について
  • 大問3:極値問題と極大値をとる条件
  • 大問4:球によって仕切られた曲面積と体積(重積分)

大問2,3どちらでもネイピア数が登場してきたので少しびびりながら解いていましたが、例年通りの難易度だと感じました。若干重積分が重かったです。
大問2は去年と同様の内容でしたが苦手意識があったのでとにかく何か書くことだけを考えました。おそらく、大問1と大問3は間違えたら落ちるだろうなと考えながら解いていました。全てそれっぽい解がでたので、甘く見積もって9割位取れたらいいなあという感触でした。

物理

  • 力学:銃弾打ち込み問題
  • 電磁気学:コンデンサ問題・電流を流したら動くパイプ問題

力学は6割、電磁気学は8割くらいです。
銃弾打ち込み問題はけっこう解いた記憶がありましたが、苦手な範囲だしなにぶん時間もないし解答用紙も小さいしでかなり焦りました。条件を自分で設定していればよかったのかな…頑張れば満点を狙える難易度でした。

ここで昼休憩を挟みます。力学の手応えがあまりよくなかったので少し焦りました。この時点でかなり疲労しておりただただ眠かったです。受験は体力も必要なんだと痛感しました。

電気回路

  • 大問1:回路方程式をたてたり最大消費電力の最大値を求める問題
  • 大問2:電流源を与えられたときの過渡現象

大問1は誘導に従って解くとうまくいった気がします。大問2の電流源の問題は解いたことなかったし、加えて過渡現象なので冷や汗が止まりませんでした。悪夢だと思いつつ、t=0と∞の時の解のみ書いて後はそれっぽい式を書きました。
体感として7割とれてればラッキーくらいです。

面接

面接官は前に3人、左右に1人ずつの計5人で行われました。

  1. 志望動機
  2. 留年するかもしれないけど理解してる?
  3. 併願校はどこ?
  4. 学科ではどのようなことを勉強したのか、電気系にはどの程度触れたのか
  5. 出身校から神戸まで大分離れているが、志望動機は本当に①だけなのか

①から③は形式的に全員に聞いていると聞きました。
④では自分は情報系のコースを専攻し、電気系の授業もある程度選択したことを伝えました。緊張で口が滑り、半導体系の授業について”履修した記憶があります!”といってしまいちょっと笑われましたがおそらくは大丈夫です。
⑤では質問の意図がうまくつかみきれませんでしたが、研究がしたいことを全面に押し出せたので結果的によかったです。

意外だったのは自分自身の卒研について何も触れられなかったことです。絶対に聞かれると踏んでいたので動揺しました。

後輩に伝えたいこと

受験勉強のみに専念できたのは周りの協力があってこそでした。勉強している自分は偉いわけではありません。そのあたりをはき違えると勉強どころか人間関係がうまくいかないので謙虚に勉強するのが大事だと思います。

いやになってしまったらサンボマスターの”できっこないをやらなくちゃ”を聞いてみてください。個人的にはFirstTake版がおすすめです。
頑張ってください。応援しています。

オススメの参考書

数学

  • 編入数学徹底研究
  • 編入数学過去問徹底研究
  • 大学編入のための数学問題集

(・電通大の数学も範囲がかぶっているのでおすすめです)

力学

  • 物理のエッセンス
  • 大学生の初等力学
  • 名門の森

電磁気学

  • 物理のエッセンス
  • 大学生の電磁気学

(・豊橋技科大の電磁気学も難易度的におすすめです)

電気回路

(・豊橋技科大の電気回路が難易度的におすすめです)